「闇の支配者」ということについて(1)
2015.04.30 Thursday
世界情勢は、いま正にカオス(混沌)の状態にあります。続発する地域紛争、近代兵器を駆使した大量殺戮。自爆テロや誘拐。それらの度に生み出されていく数百万人単位の難民。目を転じれば、環境問題が深刻さを増す一方で、従来の物質的価値に基盤を置いた欲望刺激や、経済の拡大成長志向は一向に止む気配がありません。
人々は、まるで大海に浮かぶ木の葉のように、これらの事象に翻弄され続けています。しかも、大海の全体像と実体を知らないために、自分たちが今どうなっているかさえ分からないのです。今日はその話をしたいと思います。
これから書くことは、いま世界で起きていることの、裏にある実体を理解するための参考にしていただきたいと考えてのものです。けれども、世間の常識とはあまりにも内容がかけ離れていますので、ある人にとっては目が開かれることでしょうが、ある人にはインチキ、あるいは誇大妄想のようにしか受け取られないことでしょう。
私たちが、世の中の動きを知る際の情報源としているもので最大のものは、マスコミを通じて流されるニュースです。あとはインターネットや、特別のルートを持っている人はそうした情報源、また自分の目や耳で直接確かめたといったものもあるでしょう。しかし大多数の人々は、やはりマスコミに依存している状態だと言えます。
そこには、「マスコミ情報は信用してよい」という前提が、暗黙の了解のようにしてあるのですが本当にそうなのでしょうか? 「マスコミは厳正中立である」このようなことを信じている人は、たぶんもうおられないでしょう。今や殆どの人が、産經新聞と朝日新聞とでは立ち位置が違うということくらいは知っています。
これ一つを見ても解るように、発言者というものは、よって立つ基盤の影響を必ず受けているものなのです。それが、社風であったり、スポンサーであったり、イデオロギーであったり、流行であったり、どこかからの圧力であったり、買収であったり、洗脳であったりと色々です。英語の「理解」という意味の「Understanding」は、下部に立っているものが解るという意味です。
マスコミにおいては、この下部に立っているものが私たちにはよく見えないのです。そこで私たちは、マスコミが伝える表のニュースだけを、本当のこととして認識してしまいがちなのですが実体はそうではありません。裏があるということです。戦時中の大本営発表が、意図的に国民を騙していたことは知っておられると思いますが、それは今も同じなのです。
ところが、この裏側も決して一重ではないということ。これが実にやっかいなのです。裏にはそのまた裏があるという具合で、次のようにざっと五重もの扉が控えているのです。これが、よく言われるところの「闇」です。そうしますと、人によって認識の程度が異なりますので、深いところを論じても通じない。みんな眉ツバものとか、陰謀論で片付けられてしまうのです。
その五重の扉を、 順番に見ていきましょう。
1.表がある
2.表の裏がある
3.裏の裏がある
4.裏の奥がある
5.奥の奥がある
「表」というのは、一般のマスコミで報道されているようなニュースです。大多数の人々はこれを本当のことだと捉えていて、それで満足してしまっているのですが、少数の疑り深い人は、その裏に何か隠されたものがあるんだろうと思う。例えば原発事故報道です。911テロ報道です。ところがマスコミの力は絶大ですから、多勢に無勢で、疑問を呈しても旗色が悪い。
こうした疑いを持つことは、チェック機構としては必要なものですが、日本ではその主戦場が週刊誌になってしまっています。ところが週刊誌は、政治的なことだけではなく、同一誌面で芸能人のスキャンダルやらエロネタを掲載しているために信用度が高くありません。海外では、カウンターメディアがあったり、ドキュメンタリーが盛んに作られたりしているのですが、日本ではこの分野が非常に手薄なのです。
さてそうなると、ここで一つの問題が起こります。「裏」を暴いたかに見えるものも、大衆不満の一つのガス抜きに過ぎなくて、その陰で本当の「裏の裏」は隠されてしまっているということです。見方を変えれば、「表の裏」情報も、所詮は操られたものということです。絶対的権力をマスキングするために、想定の範囲内で、大衆不満のガス抜きが行われているのです。(続く)