「お金」というものが一体どこで生み出されているのか。お考えになったことはありますか?
「そりゃあ、日本政府の造幣局だろう」とお答えになった人、ちょこっとだけ正解。でもそれは「貨幣(コイン)」に関してだけなんですよ。「紙幣」は、政府ではなくて日本銀行というところが発行しているんです。だからこれは「政府紙幣」ではなくて、「日本銀行券」というものなんです。ややこしいですよね。
でも、それが解ったとしても、正解からはまだまだほど遠い。いま上げたものは「現金通貨」だけであって、預金通帳に記載された数字の「預金通貨」や、「電子マネー」といわれるものも、みんな「お金」です。すると、「お金」ってなんだろう、という素朴な疑問が湧きませんか?
お財布にいつも入っていて(入っていない人もいますが)、これほど身近なものなのに、私たちは「お金」のことをよく知らないんです。故意に知らされていない、と言った方が正解かも知れません。
さて、「預金通貨」や「電子マネー」というものを考えてみると、そこにあるのは単なる数字です。もっと言えば、「紙幣」や「貨幣」というものも、印刷された紙切れと金属に過ぎません。これらが「お金」としての価値を持つためには、みんながそれを信用するということと、それを担保するものがあるという条件が不可欠なのです。
昔の「紙幣」は、「金(GOLD)」と交換することができました。これを兌換紙幣と言いますが、「金」の価値によって担保されていたわけです。日本でも、昭和11年に兌換が停止されるまでは、紙幣に「この券と引き換えに、相当量の金と交換する」ということが明示されていたんです。
しかし今は、このようなハッキリした担保がありません。ということは、信用そのものが担保になっている、とも言えるわけです。みんなが、その「お金」の価値というものを認め続けていることが、「お金」を成立させる必須要件になっているわけですね。
このように「お金」というものは、「数字」と、それを裏付ける「信用」とで成り立っているのです。さらに言えば、「数字」は、「信用」の量に応じて付けられた記号に過ぎませんから、結局「お金」というものは、「信用」だということになるのです。ではその「信用」なるものは一体どこで生み出されているのか、ということです。
これを知ったら驚きますよ〜。実はそれは「借金」なんです。
「借金」をすると、そこに「利息」が付きますよね。みんなそれが当たり前だと思っているでしょう。そう教育されてきているから。でもこれが、実に驚くべき仕組みなんです。
ここで思考実験をしてみましょう。世界が100人の村だったとします。あなたも私もその村の住人です。私は銀行家で、あなたに100万円を貸します。利息は10%です。期限までに110万円にして返してもらう約束です。さてあなたは、利息分の10万円をどこから見つけてきますか?
普通に考えれば、商売をするなどして、残りの98人の中から10万円に相当する分をなんとか掻き集めなくちゃなりません。すると、98人中の誰かのフトコロが10万円分減ることになります。銀行家である私がこれを繰り返していたらどうなるでしょう? 私だけの「お金」が増えて、村人はどんどん貧乏になっていってしまいます。
さらに驚くべきことに、法律では、銀行は実際には持っていない「お金」を貸してもいいことになっているんです。私が実際に持っている「お金」は100万円。これを全部Aさんに貸しました。でもAさんはその全額を直ちに引き出すわけではない。だからこれを利用して、私はBさんにも、Cさんにも100万円貸したことにできるんです。
単に通帳に数字を書き込むだけで。すると、どういうことが起きるでしょうか? 実際にはない「お金」から、「利息」分に相当する「お金」が新たに生み出されることになるのです。これを、業界用語で「信用創造」と呼んでいます。初めてそれを知ったとき、私はのけぞりましたよ。「信用創造」とはなんという言葉でしょうか?
このようにしてバーチャルな「お金」から、さらにバーチャルな「お金」が創造され、それがまたバーチャルな「お金」を生み出しているのです。
世界には、株式市場をはじめとした博打場がたくさんあります。博打で勝てる人は、相場を動かせる人です。相場を動かせる人は、資金をより多く持った人です。ここにバーチャルな「お金」がつぎ込まれ、「お金」が「お金」を生む金融経済というものが、作られてしまったのです。
この結果、どういうことが起きたか。実体経済を遥かに超える量のバーチャルな「お金」が生み出され、これが暴走し、その相場の動きに、実体経済の方が振り回されるようになってしまったのです。
ここで、100人の村の思考実験に話を戻しましょう。銀行家である私は、100万円しか持っていなかったにもかかわらず、今やバーチャルな「お金」を膨らませて、それが1億円にもなりました。さて他の村人たちはどうなったでしょうか? 1億円分の「お金」を失ったのでしょうか?
もし「お金」の総量が変わらないとすれば、そうなります。しかし今の世の中では、そこが曖昧になっていて、「信用創造」されたバーチャルな「お金」に相当する「実体」を、どこかで埋め合わせることを求められるのです。もしバーチャルな「お金」がバーチャルなままであれば、お金持ちは、単なる数字持ちということになってしまいます。
そこで村人たちは、地下を掘り起こして金めの資源を探したり、遺伝子組み換えで食料を増産したり、海で魚を乱獲したりして、なんとか増えた「お金」に見合う「実体」を生み出さなければならないのです。
お解りでしょうか? なぜ環境破壊が止まないのか。なぜ食料資源の乱獲、乱開発が止まないのか。なぜ為政者は経済成長を求め続けるのか。その答えは、ここにあったのです。増え続けるバーチャルな「お金」に見合う「実体」を生み出し続け、帳尻を合わせる必要があったのです。そうしないと、この仕組みが破綻してしまうのです。
なぜなら、それは「信用」だけで成り立っているのですから。
この驚くべきカラクリ。「オレオレ詐欺」ばかりが詐欺なのではなく、金融システムそのものが、巨大な詐欺システムの上に構築されているのです。そしてそのことは、「洗脳」によって、これまで知らされないようにされてきたのです。
それくらい、バーチャルな「お金」が増え過ぎて、「実体」との乖離が進んでしまったのです。この、「借金」が雪だるま式に「お金」を生み出すという、現在の詐欺的金融システムが変わらない限り、人々は奴隷的労働から解放されることはなく、環境破壊が止むこともありません。
いったい、そのシステムで誰が利益を得ているのかを、よく考えてみてください。そして、この「洗脳」の仕組みに、出来るかぎり嵌らないようにしてください。
最後に、参考までに、次の証言をお読みになってください。
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「私が残念なのは、一般市民は銀行がお金を創ることができるのを知らされていないことである。そして国家のクレジットを管理する彼らが、政府の政策を指揮し、人々の運命を奴隷のように握っていることを。」
レジナルド・マッケンナ:(Reginald McKenna、1863 - 1943年)元英国ミッドランド銀行会長
「通過の発行と管理を私に任せてくれ。そうすれば誰が法律を作ろうとも私の知った事ではない。」
マイヤー・アムシェル・ロスチャイルド:(Mayer Amschel Rothschild、1744 - 1812年)ドイツの銀行家。ヨーロッパの財閥ロートシルト家(英語読みでロスチャイルド家)の基礎を築いた
「私はもっとも不幸な人間です。私はうっかりして私の国を滅亡させてしまいました。大きな産業国家は、その国自身のクレジットシステムによって管理されています。私たちのクレジットシステムは一点に集結しました。したがって国家の成長と私たちすべての活動はほんのわずかの人たちの手の中にあります。私たちは文明化した世界においての支配された政府、ほとんど完全に管理された最悪の統治の国に陥ったのです。もはや自由な意見による政府、信念による政府、大多数の投票による政府はありません。小さなグループの支配者によって拘束される政府と化しました。」
トーマス・ウッドロウ・ウィルソン:(Thomas Woodrow Wilson, 1856年 - 1924年)第28代アメリカ合衆国大統領