昨日は、『いろはクッキング教室』のご案内をいたしましたが、その実施母体として、同時に「セサミ・クラブ」というボランティア・サークルを有志数名と立ち上げました。「セサミ・クラブ」は、小・中学生くらいの子供を持つ親御さんたちに対して子育て支援を行うことを目的としています。
支援といっても、困った人に何かをしてあげるというのではなく、基本は「なにごともシェアする」「自分たちでなんとかする」という考え方です。私自身は、すでに子育て年齢を遠く離れてしまって、どちらかと言うとシニア(死near?)に属するのですが、私でできることはお手伝いしたいと協力を申し出ました。
そもそものきっかけは、私が住んでいる多摩市で、「児童館」を縮小する計画があると、一人のお母さんから聞いたことです。最初のうちは、それがどんなに困ったことか、私には解らなかったのですが、お子さんと接したりしているうちにだんだんと事情が飲み込めて来ました。
要するに「児童館」というのは、都会地の中では、子供たちにとってほとんど唯一の「原っぱ」機能の場所なんですね。「原っぱ」機能の場というのは、家庭と学校との中間地帯ということです。大人の管理から離れて、同年代の子たちと一緒に遊んだり、息抜きをしたり出来る場です。
大人であるサラリーマンだって、会社と家庭の中間に居酒屋を挟んで、それでリフレッシュしているではありませんか? だから、子供たちにも「原っぱ」は必要です。そしてむしろ「原っぱ」にこそ、自分を成長させてくれる種がいっぱい落ちていると思います。
そこで発起人のお母さんたち数名と話し合って、いろんな「原っぱ」をつくることを目標に活動しようということになりました。最初は、そういう場がないかと探したのですが、就学前の児童のサポートはあっても、小・中学生向けのものはあんまりないんですね。それで自分たちで、とにかく立ち上げることにしたわけです。
今のお母さんたちは大変です。核家族化で家の中に祖父母がいない。隣近所の付き合いもない。そういう孤立した中で、社会変化の大きな歪みが、弱いところに容赦なく襲いかかって来ているのです。仕事、賃金、学費、子供の将来の就職難、ワクチン接種の問題、モバイルメディアの影響、などなど。
加えて離婚率の高まりで、シングルマザー、シングルファーザーが急増しています。私にもシングルマザーの知り合いが何人かいますが、ダブルワークは当たり前。人によってはトリプルワークまでして生活を維持しているのです。
このような中で、子供たちと過ごせる時間を取ろうとしてもなかなか難しい。潔癖な人は、そのことに罪悪感すら抱いているのです。しかし社会の中で、そうした状況に目を向ける人はあまりいません。
子育て期間が限られていることと、みんな自分のことで手一杯で、社会変化とその影響という視点から、現状を捉える人はとても少ないのです。しかし確実に言えることがあります。今の子供たちが、将来の私たちを支える存在にいずれなるということです。
そのことを考えれば、自分の出来るうちに、出来ることをして支えるのは極々自然なことです。それはちょうど山の植林と同じで、刈ってばかりではハゲ山になってしまいますが、次の世代のためにちゃんと植林をするではありませんか。
発起人の一人が、家族に「セサミ・クラブ」の構想を話したところ、「自分の家のことも満足でないのに、なんでそんなことを始めるのか」と言われたそうです。私も、生前のカミさんから同じことを言われました。「なんであんたは自分の家がメチャクチャなのに、いつも他人のことばかり優先させるのか」
でもね、それは違うんですよ。その頃は衝動でただそうしていただけで、よく分かってはいなかったのですが、今ではハッキリ言うことができます。そうすることで、いちばん救われているのは、実は自分なんだと。いやむしろ、誰にとっても、自分が救われる道はそれしかないんです。
「セサミ・クラブ」は生まれたばかりのヒヨコちゃん。この先どうなるかは分からないけれど、一緒に参加してくださる方は、クラブの代表までご連絡ください。年齢性別問わず、遠方の方でもOK。全国的なネットワークができていったらステキだな。