今こそ「起業を目指せ」
2014.01.31 Friday
成人したお子さんが「自分で商売を始めたいんだけど‥‥」と言ったら、どうされます? 賛成しますか、それとも反対しますか?
GEM(グローバル・アントルプレナーシップ・モニター)というところが実施した調査によると、日本の起業率は5.2%とのこと。この数字が諸外国と比べて高いか低いかというと、非常に低いのです。GEMが調査した55ヵ国中、日本は下から5番目。
低い理由には、教育面と、制度面の二つの問題があると思います。先ず教育面では、日本の小中高大学教育というのは、そもそもサラリーマンを作るためのものになっている。集団的な秩序、右ならえを前提として、その中で競争することを教えます。個性を引き出そう、伸ばそうという考えはなく、個性的な人は落伍者として排除される傾向があります。
制度面では、開業のハードルが非常に高い。開業資金をほとんど自己資金で賄わなければならず、300万円程度を貯めるのにも何年も掛かります。銀行は担保がなければお金を貸してくれません。うまくいって借りられたとしても、今度は返済が重くのしかかってきます。
それと家賃が高過ぎる。開業してもすぐに軌道に乗るわけではありませんから、100万円程度の運転資金では、たちまち底をついてしまいます。こうしたことから、起業した会社のうち5割が3年以内に姿を消してしまいます。
さらに追い打ちを掛けるのは、借金の返済です。会社というものは本来は有限責任ですから、潰れたら負債はチャラになります。ところが日本では、中小企業が借金をする場合、オーナーがそこに個人保証することを求められます。
借りる時にはよもや倒産など考えていませんから気軽な気持ちで判を押すのですが、倒産した後にも、借金がどこまでも追いかけて来るのです。泣きっ面に蜂とは正にこのことです。○○の毛まで抜かれてしまい、一家離散の憂き目に遭うのもザラ。日本では一度失敗すると、敗者復活が難しいのです。
これでは起業のリスクを取ろうとする人など、居なくなってしまうのも当然です。でも私は敢えて、それでも今こそ「起業を目指せ」と言いたいです。
サラリーマンが幸福だった時代はとっくのとうに終わっています。平均(たいらひとし:植木等さんの『ニッポン無責任時代』の役名)が「サラリーマンは気楽な稼業と来たもんダ」と歌った時代は遠い過去。めでたく正社員の椅子を得ても体を壊すまで酷使され、正社員になれない者たちは低賃金でコキ使われる。どっちにしても使い捨て要員です。
労働者がブラック企業を見捨てないからブラック企業がのさばり続けるのです。捨てられるのはいつも労働者とは限りませんよ。労働者側から企業を見捨ててやればいいじゃないですか。契約はフィフティ・フィフティ。全員で示し合わせてブラック企業を置き去りにし、自分たちで会社を起こせばいいじゃないですか。
こんなアジテーション、「無責任」でしょうか?