大学へ行くことの価値って?
2013.05.31 Friday
2012年のデータによると日本の大学進学率は50.8%。1950年代はまだ1割に過ぎませんでしたが、今では2人に1人が大学に進学している勘定です。ちなみにお隣の韓国は2004年データで89.8%。堂々世界第1位。驚異的な数字です。
でも、大学を出ても就職が容易でないとなったら、果たして大学に行く意味はあるのでしょうか? 純粋に学問が好きというなら解ります。また大学卒業資格がなければ進むことが出来ない職業を目指すなら、進学の意味も理解できます。
しかし、ちょっと前の「高校くらい出ていなければ」という社会の認識が「大学くらい出ていなければ」というものに変わっただけであるとするならば、今の社会状況はそれを許さない、無意味なものに変容してしまったと思います。
猫も杓子も大学に行けば、結局は大学のブランドで差別されます。「大学に入る意味は、学閥と人脈だけ」と言った友人がいたのですが、本当にそういうことだけなのかも知れません。
工業社会が曲がり角に来てしまったのに、経済を語るときの指標や、国の政策や、ニュースなどの中心議題は、いまだ20世紀型のまま。でも工場生産は安い賃金を求めて玉突き的に世界を移動していて、その度に数万人規模の雇用が生じたり、逆に流出したりしています。
Appleは、メイド・イン・カルフォルニアだそうですが、カルフォルニアには戦略部門とデザイン部門しかなくて、いったいどこが「メイド・イン・カルフォルニア」なんだと言われているようです。
結局、世界的企業と言っても、本国では少数のホワイトカラーしか必要としません。そうした少数の椅子を求めて、みんな大学へ行っているわけですから、大学を卒業しても就職口がないという事態が起こることは避けられませんよね。
それなのに、大学生の2人に1人が奨学金を借りてまで大学を卒業しようとしている。もっと現実を直視した方がいいと思いませんか?
私は大学に行っていません。家が貧しかったし、大学に行きたいとも思いませんでした。いま自分が10代だったとしたら、やはり大学には行きませんね。今の時代だからこそ伝統工芸の職人を目指します。
大学を卒業してからでは遅い。体の感覚が覚えませんもの。バレエダンサーだって、サッカー選手だって、ピアニストだって、F1ドライバーだって、みんな5・6歳のころからその道を目指しているじゃないですか。そうでなければ一流にはなれません。
一流の職人、一流の農家、一流の漁民。
モラトリアムで大学に行くのではなく、最初からそういうものを目指した方が、将来に花が咲くと思います。
学習を深めたければ、大学に行かなくても、図書館だって、インターネットだってありますから。それはいつだってできる。
一度働いて、問題意識を持ってから調べものをしたり学習したりする方が、よっぽど身に付くし役に立つものだと思います。