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『大地の子』と上川隆也さん
BSプレミアムで、山崎豊子さん原作のドラマ『大地の子』がアンコール放送され、近ごろ骨太のドラマがなかったので、これを楽しみに観ています。このドラマの最初の放送は1995年。なんと、それからもう20年が経っているんですね。

『大地の子』には、ちょっとした思いがあります。この時期、私は、巣鴨で中国人兄弟がやっていた整体院に足繁く通っていて、彼らと『大地の子』について話し合ったのです。その時に、主演の上川隆也さんが日本人俳優だと言うと、彼らは目を丸くして驚いた。それほど、上川さんの中国語が完璧だったということです。

この役は当初は本木雅弘さんが予定されていたそうですが、長期に渡る中国ロケで有名俳優を拘束することは難しい。そこで、劇団「キャラメルボックス」の上川隆也さんに白羽の矢が当たったのだそうです。

この上川隆也さんを見つけて来た慧眼というのは、凄いと思う。私も当時、もの凄い新人俳優が居たものだと驚きました。もしこの主役が、名の知れた日本人俳優であったなら、ドラマは全く違ったものになっていたと思う。中国に取り残された戦争孤児のリアリティは、やはり無名の新人でなければ出なかったと思います。

加えて、陸一心という人物の純粋さ、ひたむきさを、上川隆也さんが完全に一体となって、全身で表現し尽くしている。陸一心はとにかくよく泣く。一つのドラマで、こんなに泣いてばかりいる主役という設定も珍しいですが、それが少しも嫌味のない感情表現になっていたのは、大したものだと思います。

最終話では、原作のタイトルにもなっている「大地の子です」という言葉が、陸一心の口から述べられ、これにも非常に感動しました。これは、陸一心(日本名:松本勝男)に、父である松本耕次が「日本に来て一緒に住まないか?」と遠慮がちに誘った際に、陸一心が答えた言葉です。そう言って、息子は父の申し出を婉曲に断り、中国に留まる決意を明らかにするのです。

でも、当時は気づかなかったのですが、この「大地の子」には、もっと大きな意味があったのだと思い至りました。この「大地」は、中国大陸ということではなくて、地球の「大地」だったのだということ。だから、中国と日本と、国は離れていても繋がっているという意味だったんですね。